だけど棄ててはならない大切なもの

下記調査事例は類似する複数の調査を元に創作したフィクションです。

 

石狩市在住のA子さん(51才)から当社無料電話相談にご相談を頂いたのは深夜3時のことでした。

A子さんの緊迫した声から、すぐに詳細をお聞きした。

相談内容は夫 Bさん(52才)が家出をしたとのこと。

Bさんは、父から継いだ内装会社の社長。

社員は2名のBさんを含め3人の会社。

ご相談を頂いた前日、朝、仕事に行くと言ってお弁当を持って出て行った。

午後、A子さんがBさんの携帯電話に電話したところ、電源が切られている。

予定の仕事現場にも行っていない。

自宅のBさんの机の中に一通の手紙。

内容は「探さないでください、必ず連絡をします」というもの。

親戚、Bさんの友人など心当たりを連絡したが手がかりがない。

すぐに家出人捜索願いを警察に出した。

警察では、「成人の方が自らの意思で失踪した場合は、積極的な捜査はできません」

「事件性があれば別ですが。」とのこと。

会社もBさんが経営から実務まで行っていたので大変になる。

なにより、Bさんのことが心配でならない。

家族とも話しあった結果、Bさんの性格を考えても、

余程の覚悟の上の行動と考え、やはり探偵に依頼をするとの結論になり、

深夜のご相談に至ったのである。

その後、当社にご家族も含めご来社頂き、調査依頼となった。

すぐに調査員を集め、調査の方向性、調査方法の確認などを行い調査を開始する。

まずは3名の調査員を市内のホテル、ビジネスホテル、カプセルホテル、

サウナ、漫画喫茶等などの聞き込み、および手配書の配布。

Bさんは車に乗って失踪しているため、

深夜は車を駐車しそうな24時間営業のスーパーなどを徹底的にパトロールを行う。

調査開始から1週間になろうとする日、当社に目撃情報が入る。

情報場所は市内から30キロほど離れている道の駅の売店の店員さんからであった。

「今、売店で買い物をしたとのこと」

「服装も手配書に書かれているものと一致しています」という。

さっそく、調査員が現地に向かうと同時に、依頼人のA子さんに連絡を取る。

調査員が現地に着くと、駐車場にBさんの車を発見すると同時に、

ベンチに座ってパンを食べているBさんを確認する。

まもなく妻 A子さんも到着し、ご主人の姿を当社の調査車両から確認する。

その後、奥様と協議をし、ご主人の行動を2日間ほど調査することにし、

A子をご自宅に送る。

2日間のBさんの行動は夜は道の駅で車中泊し、日中はパチンコ店に行き、

その後、銭湯に入る。

そして、また夕方から道の駅で過ごしていた。

異性との接触もなく、また何かに脅えている様子でもなかった。

Bさんを発見してから3日目、奥様がパチンコ店にいるBさんに声をかける。

うなだれるBさん、泣きながら話をするA子さん。

その後、Bさんも納得をし、当社の車両にてご自宅にお送りする。

翌日、Aさんよりご連絡を頂き、Bさんのお話されていることをお聞きした。

「とにかく、仕事に疲れていた。 自分のこれからの人生に希望がもてなかった。

だけど、家を棄ててみて、家庭の大切さがわかった。心配をかけてすまなかった。」と

言ってくれたそうです。

「棄ててみてわかる大切なもの。 だけど棄ててはならない大切なもの。」

今後、二度とこのようなことがこの夫婦におこらないことを願う探偵でした。